
4/28
一泊で実家に帰った。
このまえ壊れた椅子とか、部屋にある邪魔だけど捨てにくいものを車につめて、出発。
高速道路、湾岸を走らせる。
広々とした道路をそこそこのスピードで走らせていくと、都会で縮こまった体がだんだん緩んでいく。巨大な高架橋の上を走る。海が見える。橋を支えるワイヤーが何本も斜めに伸びている。海沿いの遊園地、観覧車が見える。
だんだんと、自分が住んでいた土地に近づいてくる。海は終わり山の中だ。
途中、サービスエリアに寄る。GW前なのかなんとなく人が多い。実家と親戚用のおみやげを手に入れ、併設されたコンビニでアイスコーヒーを買った。
駐車場に戻り、アイスコーヒーを飲む。
実家は隣の県なので2時間くらいで着く。いまも半分くらい。
自分の前にある車には、高齢の方5人位が乗り込んでいた。どういう集まりなんだろうと少し想像した。
一息ついてから、また車を走らせる。
地元に近づくにつれ『あの頃の感じ』が自分の周辺を包む。田んぼしかない田舎。海が近いのでいつも強風が吹いている。どこまでも何もない田んぼの道を、風で髪の毛がボサボサになった冴えない学生の自分は自転車を押していた。
高速を降りる。
地元のさほど変わっていない道を進む。
学生時代はまだ栄えていた市街を走らせる。ほとんどのお店はシャッターが閉まっている。冴えない思い出が頭に浮かぶ。
母親が一人やっている店に挨拶に行く。おみやげを渡し、客はいないのでそこでグダグダする。おみやげを渡し、コーヒーを飲みながら世間話。
なにも変わらない感じ。お互い年だけは取っている。
母親はまだ仕事があるので自分は先に実家に戻った。
実家は丘の上の、山を切り開いた住宅地にある。周囲は森と田んぼ、お店などもなく、さほど発展しなかった、プチ限界ニュータウンって感じだ。最近はソーラーパネルになっている所も多い。
実家に到着する。ぼろくなった実家を眺める。さほど手入れしていない庭は雑草が多い。
鍵をあけ、二階に荷物を運ぶ。高校時代に住んでいた部屋。数年前まで、物置のように荷物が多かったけど、思い立ってあらかた処分してしまった。自分なりの終活だった。思い出の写真やノート、昔読んだ漫画、本、DVD、ゲーム。あらかた処分した。モノが無くなっていくと、自分がどんどん軽くなる感じがした。
母親が帰ってくる夜までぼんやりした。山奥なのでたまに車が通る以外は静かだ。
時間の流れがゆっくりになっている。
だんだんと外が暗くなっていく。
母親と夕食をし、ビールを飲んだ。適当に雑談をした。シャワーをして自室に戻ると無音だった。
いつもは深夜まで起きてるけど、今日はつかれているのか、すぐに寝てしまった。
4/29
普段と違い、すこし早めに起きた。
朝、田舎なので近所にある道の駅に行く。祝日なので人が多い。いちごや野菜、地元の名産を買う。
家に戻ると、母親は自分の店にいくという。昼を用意しておくから、帰る前に寄るように言われる。
一人、誰もいない実家に残された。
昼間なのに音がほとんどしない。
この静けさと時間が止まっている感覚を、自分は高校時代いつも感じていた。
世界は全ては終わってしまい、残された人間は自分だけ。
ポストアポカリプスごっこをしながら。実家をゆっくり探索した。
昔聴いていたCD、壊れたゲーム機。ゲームのパッケージだけとか。それらを一つづつ取り出し、眺め、また元の場所に戻す。
ここは時間が止まってしまった世界だ。
昼になったので、親の職場に行った。名物を昼ご飯として食べた。特になんでもない話をする。まあまた、夏にでも。
高速に乗り、現実に戻る。