
連休だけど、あまりにも外に出ていない気がする。
ずっと引きこもってたい。できることなら。
もし核戦争かなんかで世界が崩壊し、旧女神転生Ⅱみたいなシェルター生活になってもぜんぜん大丈夫。
ただ個人的には全く苦ではないけど、人間としてはなんかヤバいんじゃないか?と不安になったので、今日は思い立って外に出ることにした。
僕は完全武装でマスクをし、情報端末のモノクルを片耳に装着する。片目のレンズには、大気の汚染状況など、外に出るべき様々な情報が表示される。崩壊前ほど情報は正確ではないが。
「ハローマサミ」
モノクルにインストールされているAIのレイナだ。荒廃した外の世界で、彼女のアシスト無しでは生きられない。 普段はオンラインで情報にアクセスしているが、モノクル版はオフラインでも必要な情報を教えてくれる。
一番の敵は、不安とストレスだ。
彼女と無駄話をすることで、僕らシェルター民はなんとか平静を保って生きている。
タクティカルバッグに財布と携帯とエコバッグを入れた。準備はオーケーだ。
「久しぶりに外へ出るのね?マサミ。たまには外界に出るのも悪くないわ」
ぼくは頷く。
「でもマサミ、気をつけてね。今日は連休の最終日、お昼と言っても、外にはキラキラした子供や威勢のいい若者たちが溢れてるわ。子どもたちのピュアな視線や、若者たちのけたたましい笑い声で、あなたの精神はかなり削られることになるわよ」
わかっている。だが、人間とは社会的な生き物だ、断絶したまま生きていくことはできない。
ぼくはワークマン製の2500円コンバットブーツを履き、シェルター入口の前に立った。
外がどうなっているか詳しくはわからない。
普段は家の中でも、ノイズキャンセリングヘッドホンをつけてモニターの前にいるので、外で雨が降っていようが救急車が通ろうが一切聴こえない。近くでIED(即席爆発装置)が爆発しても、僕は構わずモニターをみ続けているだろう。
窓も遮光カーテンで、昼間でも一切の日光を遮っている。
僕は外へとつながるハッチの前に立ち、重いハンドルを回した。鈍い金属音がし、ハッチの隙間から光の筋が漏れる。
久しぶりにシェルター外の景色を眺めた。空は曇っているが、それでも眩しい。ここは社会性を持った太陽の下を歩く者たち(デイウォーカー)が蠢く世界だ。
5月の緩やかな風が僕の前髪を揺らす。
「情報では昨日までは雨、雨の後のまだ冷たい空気が残っているわ。この時間はまだ汚染濃度は低いわ」
僕は歩き出す。 ゆるい日差しと、湿気を帯びた冷たい風が心地良い。
まずは移動用ビークル(崩壊前は軽自動車と呼ばれていた)のある月極ハンガーに向かう。
「マサミ気をつけて、ハンガーまでのルート、普段より25%デイウォーカー達が多いわ」
ダッシュで自分の横を通り過ぎる子どもたちや、バス停で歩道を塞ぐ老人デイウォーカーの群れをかわしつつ、なんとか月極ハンガーの移動用ビークル(崩壊前は軽自動車と呼ばれていた)に乗り込んだ。
ぼくはマスクを取り、ビークルのエンジンを起動させる。
「マサミ、でどこに行くの?」
ぼくは崩壊前の文化、特に過去の娯楽やガジェット、文献などが置かれている巨大なアーカイブ施設に向かうことにした。つまりそれは、
「ブックオフさ」