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【映画】地獄の黙示録(通常版)レビュー

ベトナムの街並み

先日、アマゾンの初売りセールで地獄の黙示録BOXを買いました。


フランシス・フォード・コッポラ監督のベトナム戦争をテーマにした映画です。いろんなバージョンがあって、去年公開された4Kファイナルカット版特別完全版、一番最初に放映された通常版がありますが、今回は通常版の方を観ました。

この映画、有名なのはやはりワーグナーの「ワルキューレの騎行」と共にベトナムの村を襲撃するシーンたと思います。

戦闘シーンもすごいのですが、この映画は、ベトナム戦争の狂気を描きながら、この社会の歪さについて描こうとしているのではないと思います。

20代の頃かなり影響を受けたこの映画、おっさんになった今、もう一度見てみたいと思います。

地獄の黙示録(通常版)スタッフ、あらすじ。

監督:フランシス・フォード・コッポラ
製作:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:ジョン・ミリアス/フランシス・フォード・コッポラ、(ナレーション)マイケル・ハー
音楽:カーマイン・コッポラ/フランシス・フォード・コッポラ

ウォルター・E・カーツ大佐 /マーロン・ブランド
ベンジャミン・L・ウィラード大尉 /マーティン・シーン
ビル・キルゴア中佐 /ロバート・デュヴァル
ジェイ・“シェフ”・ヒックス /フレデリック・フォレスト
ランス・B・ジョンソン /サム・ボトムズ
タイロン・“クリーン”・ミラー /ローレンス・フィッシュバーン
ジョージ・“チーフ”・フィリップス /アルバート・ホール
ルーカス大佐 /ハリソン・フォード
コーマン将軍 /G・D・スプラドリン
報道写真家 /デニス・ホッパー

あらすじ

ベトナム戦争末期、ウィラード大尉は離婚してまで、また戦場に戻ってきた。

サイゴンのホテルに待機中の彼に、上層部より元グリーンベレーのカーツ大佐を暗殺するよう命令が下る。

カーツは軍の命令を無視し、戦場を離れ、カンボジアで自分の王国を築いていた。

ウィラードは軍の小型艇に乗り込み、数人の仲間とカンボジア国境に向かう。

川を渡る工程で、ウィラード達はベトナム戦争の実態を目の当たりにする。

 

地獄の黙示録、感想

かつて推しVtuberのお嬢様は言いました。

「人の世は欺瞞に満ちている」

世の中を薄目で見れず、常にはっきりとクリアに見てしまう我々は、日々こういった感情に苛まれているのではないでしょうか?特に戦争という状況では、倫理観や人権といった概念はぶっ壊れ、世の中の欺瞞をさらに強く感じると思います。

カーツ大佐はベトナム戦争の体験から、そんな欺瞞に満ちた世の中に怒り、呆れ、絶望します。そして彼は戦場を離れ、カンボジアで自分の王国を築きました。

そんなカーツを暗殺せよとの命令を受けたウィラード大尉も、同じように社会に嫌気が差している存在。わざわざ離婚までして戦場に戻ってきました。

また観ている我々も、ウィラードがカーツに合うまでの道中を同じように体験することで、戦争の狂気、人間の愚かさを実感できる仕組みになっています。

サーフィンをするために、近くの村を襲撃する、ビル・キルゴア中佐。
慰問に来たプレイメイトに熱狂してヒートアップする兵隊たち。
戦闘の恐怖で、皆もう何しているか分からない前線基地。

愚かで、滑稽で、やるせない。
さらに、The Doorsがその苦しみ、懊悩を歌で表現します。

カーツ大佐について。

カーツ大は海兵隊のエリートでしたが、この社会の不条理さ、狂気、やるせなさに絶望した人物です。

カーツは軍という社会を離れ、カンボジアで自分を信奉する者たちと自由な王国を築きます。

だが彼の王国もまた、彼の気分次第で首を刈られたりする、狂気に満ちた王国でした。

彼はただの狂人なのか?それとも何かしらの悟りを築いた思想家なのか?

多くは語られないので、それは観る人の判断に委ねられるているように思います。

ウィラード大尉

ウィラード大尉も、一般社会になじめない人物です。

彼はカーツを追う工程で、いくつものベトナム戦争の狂気、壊れた倫理観と人間の愚かさを体験します。

最初、ウィラードはカーツのことをただの狂人だと考えます。ですが、ベトナムの状況と、カーツに会って会話をすることで、だんだんとカーツの考えに共感していきます。

この作品にハマっていたころ

この映画を見たのは20代だったと思います。

その頃の自分は世の中の不条理さに嫌気がさし、ひたすら真理を求め、自分の存在や、世の中のすべてに答えを求めていました。それがわからなければ一歩も前に進めない。

まるで序盤のホテルで腐っているウィラード大尉のように、日々悶々と過ごしていました。

そしてカーツのような、自分を導いてくれる師匠のようなものを求めていました。

この映画を観ると、あのときの、頭を抱えてもがき苦しんだ、世の中に対する問いも答えもわからなかった時代を思い出します。

ラスト

カーツはウィラードが自分を暗殺しに来たのを知りながら、彼を自分の王国で自由に行動させます。

ウィラードは牛を一頭生贄にする祭りの夜に、カーツを殺す決意をします。

カーツは自分の狂気を終わらせてほしかったのか、または自分の王国を継いでほしかったのかもしれません。

それを受けたウィラードも、カーツを殺し、生き残った部下を連れて王国を後にします。

そのときウィラードはどういう気持ちだったのか?

これも、小型艇で王国を去るウィラードの表情から、我々が考えるべき監督からの問い、なのかもしれません。

 

まとめ

アオザイの女性

地獄の黙示録は、ベトナム戦争を描きながら、その先の壊れた世の中や倫理観、人間の愚かさを描いた作品だと思います。

そして、自分もそんな愚かな人間社会の一人であり、うんざりする世の中でどう生きるべきなのか?

ということを映画から問われているように思います。

地獄の黙示録はとても哲学的で、様々な見方ができる作品です。

ベトナム戦争モノのアクション映画として観ても、圧巻のアクションシーンだと思います。序盤の森がナパームで燃えるシーンもすごいです。

一生に一回は観て損は無いかと思います。「世の中クソだけど、おまえはどうするんだ?」と自分に迫ってきます。


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