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【映画】斬、KILLINGを観た。【レビュー】

刀
塚本晋也監督作品「斬、KILLING」が、アマゾンプライムの見放題であったので観ました。

前回の「野火」もよかったですが、最新作「斬,」もかなりおもしろかったです。時代劇だけど、明らかに今の人達に叩きつけてる映画でした。

一筋縄ではいかない、簡単に言葉に表すことができない重いボールを、腹で受け止めたような感覚でした。

戦いは何も生まない、とか、刀で戦えば血が出る。入り口はわかりやすいテーマから、さらに一歩踏み込んで、その先にある人間の根源的な何か?を問題提起しているように思いました。

自分がいま言葉にできることを書いてみたいと思います。

塚本作品と自分

塚本監督の映画は、10代の頃「鉄男」そのパンクな破壊衝動的映像に衝撃を受け(その後大学で映研に入ろうとしてたのはモロ鉄男の影響、映研の人にコマ撮り出来るカメラはありますか?って聞いた)、その後も、「東京フィスト/TOKYO FIST」、「バレット・バレエ/BULLET BALLET」、「悪夢探偵/NIGHTMARE DETECTIVE」など、なんだかんだで、作品が出れば追っている監督さんです。

 


こんなん観たら何かに焦っていた自分はコマ撮りで映画撮りたくなるよね。
あとこの頃の塚本監督(☓ゼッケンの男)、なんか大槻ケンヂっぽい。
あとドリルちんこは凄まじいメタファーだ。

前作の「野火」も観ました。戦争なんて絶対行きたくないと思わせる映画でした。あと、「人間として一線を越える」とはどういうことなのか?倫理観とかを作り出す人間のギリの際は何?とつきつけてくる映画でした。

塚本作品を見ると、パワーと衝動を詰め込まれます。または焦りと攻撃性。

一生に一度は観とくべきだと個人的には思います。腹に重い熱鉄玉を詰めてくれます。

斬、KILLING、キャスト、あらすじ

キャスト

都築杢之進 (つづきもくのしん)– 池松壮亮
ゆう – 蒼井優
源田瀬左衛門 – 中村達也
市助 – 前田隆成
澤村次郎左衛門 – 塚本晋也

斬、あらすじ

動乱の江戸時代末期、浪人の都築杢之進は農家にお世話になり暮らしていた。都築はその農家の姉弟、弟の市助に剣の稽古を付け、姉のゆうには心を惹かれていた。

都築は田植えを手伝い、おだやかに暮らしていた。ゆうは血気盛んな市助と、いつか京都へ戦いに行ってしまうのかもしれない都築の事を心配していた。

ある日、三人は浪人、澤村に出会う。市助に稽古を付けているときの都築の剣の技術を認めた澤村は、泰平を守るため、一緒に京都の動乱に参加しようと誘う。

市助も誘われ興奮するなか、剣の技術はあるが、人を斬ったこのない都築は葛藤する。

そんなとき、都築の村に、野盗まがいの源田の一味がたどり着く。農民たちが不安になるなか、彼らは野盗を都築になんとかしてほしいと頼む。

だがこの小さな出来事をきっかけに、ゆう、市助、澤村、都築に大きな試練の時が訪れる。

 

斬、感想(ネタバレあり

この映画を観て、自分が感じた事を書きたいと思います。一部、作品の後半の内容に触れるので、ネタバレありです。

まだ観てない人は注意してください。こんなへっぽこレビューの前にすぐ観ることをおすすめします。

主人公、都築杢之進について

彼はただのヘタレという意見があったけど、多分そうじゃない。

戦うことが怖いのではなく、刀で人を切ることにためらいと葛藤がある。木刀なら臆することなく野盗と戦っていたので。

刀で人を切る、またはその人を殺すということは、切った人の人生を終わらせる行為である。

人を斬るのに何も考えてないやつも多いが、彼はその責任を負うことを避けているように感じました。かといって刀を捨てるわけでもなく、剣の技術だけは農家の市助と日々鍛錬している。

剣の技術だけは日々鍛えているけど、それを実際の本番(人を斬る、殺す)では使うのをためらっている。

これって、個人だったり社会だったりで、いろいろ当てはまるのではないでしょうか?

兵器は保有するけど、実際は使ったことのない国家とか、戦闘の技術は学ぶけど、実際の人に向けて銃は売ったことのない軍隊とか。

また彼は剣を使うことも辞めることも自分で決めれない、自分の判断と責任において何かしらの決断ができる事が大人なら、都築はまだ大人になれない。

土壇場で剣を使えない都築を観て、彼を大人にしょうとした親のような存在が澤村かな、と思いました。

刀で斬れば人は死ぬということ。

今作の殺陣は、時代劇で見る華麗なチャンバラでなく、もっと生々しく、泥臭いものでした。

人間は柔らかい皮膚でできた袋の中に、血や肉や骨や内蔵が入ったものであり、鋭利な刀で皮膚を切れば、水風船を斬るように、簡単に血や肉や内蔵は流れ出てしまう。そして死ぬ。というのがリアルに実感出来ます。

野盗まがいの源田の一味を澤村が次々たたっ斬っていくシーンは、無骨で、泥臭いです。本当の人殺しってあんな感じなのかなとも思いました。

ちょっと何やってるかわかりにくかったですけど。でもそれが逆にリアルに見えました。

また別のシーンで、澤村が最後、自分の内臓をドバドバ流れ落として、あ、ヤバい、って感じでそれを若干かき集めようとしながら地面に倒れる様は壮絶です。数秒ですが、あのシーンはすごい。

野火などでもそうですが、塚本作品のグロ描写って本当に痛そうです。そして取り返しがつかない感じが強烈に印象に残ります。

ラスト

都築は刀を使うのをひたすら避け続けて森に逃げます、そして最後に澤村と戦うことになります。

都築は澤村に切られてもやはり刀を使わず、最後の最後、澤村に殺される寸前でやっと刀を使い、澤村を斬り倒します。

争いをやめてほしかったゆうが泣き叫ぶ中、都築はそのまま森の中へ消えていきます。

森の中をさまよう主観映像をバックにスタッフロールが流れるのですが。都築がどういう気持だったのかは語られません。

彼は澤村を斬ってしまった、人を殺してしまった事を後悔しているのか?または刀を使う決断をし、その責任を負ったが、自身の抱える葛藤は何も解決せず、それが森をさまよう映像につながっているのか?

自分はこの最後のシーンを観ていて、なんだかんだで大人?というものになったけど、大人になる前に抱えていた葛藤は何も解決しておらず、それが森をさまよっている映像と自分の今の現状とにフィードバックして、なんだかうわーって感じになりました。

 

まとめ

「斬、KILLING」は久しぶりに自分の内臓を掴んでくる映画でした。

今の社会の情勢、核兵器や武器を持っているけど使わない、軍隊は訓練をしているけど実際の戦闘はしていない、といった状況とか、そこから個人が抱える葛藤に至るまで、非常に深いテーマの作品に感じました。

映画は様々な感想があってしかるべきなので、なるべく他の人のレビューを見ず、自分が率直に感じた感想を書いてみました。

映画は、その時の自分の状況、精神状態でも感想は全然変わってくると思います。登場人物たちがあまり多くを語らないので、様々な解釈があると思います。

あなたは今も森をさまよっていますか?

まだ、言い足りない感がありますが、「斬、KILLING」、現在はアマゾンプライムの見放題枠で観れます。おすすめです。

 

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